12月第4週(12/21〜12〜27)*印が多いほど頻出(最高3つの*)


[日本経済]

(1)大手行、格付け軒並み上昇(12/24) ***

 海外の格付け会社による、日本の大手銀行の格付けが、相次いで上方修正され始めた。不良債権処理が進み、自己資本も以前より厚くなり、資産の健全性が高まってきたためである。大手行の格付けは、バブル崩壊以後の90年代に、ほぼ一貫して下がってきたが、不良債権問題の出口がようやく見えてきたといえる。しかし、デフレ不況から脱却できなければ、新たな不良債権が生まれ、格付けの上昇が、このまま続くかどうかは不透明である。

 しかし、上方修正されたとはいえ、スタンダード・アンド・プアーズの長期格付けでは、大手行で最も格付けが高い東京三菱銀行や三菱信託銀行ですら、「トリプルBプラス」である。80年代前半には、旧日本興業銀行や旧日本長期信用銀行などが最上位の「トリプルA」の格付けだったのに比較すると、依然として低水準に留まっている。

[参考データ(9月末)]

 a.不良債権比率(貸出総額に占める不良債権の割合)

住友信託銀行 3.44%
東京三菱銀行 3.47%
あおぞら銀行 3.99%
新生銀行 4.11%
三菱信託銀行 5.31%

 b.自己資本比率・・・上記五行は、20.17〜12.23%
      (自己資本比率については、「重要30用語」参照)


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(2)予算政府案決定(12/25)−月収54万円世帯に例えると! **

 2004年度予算政府案は、一般会計の総額で82兆1100億円である。歳入と歳出のシェアを、年収646万円の平均的な勤労者世帯の家計に当てはめると、その深刻な財政状態が理解できる。

 年収を月収に直すと、夫の収入は49万3千円で、国の税収41兆7400億円がこの月収に当たるとして計算した比率で、予算案の主要項目の額を国に当てはめてみた。

 妻の内職(予算案のその他収入)4万4600円を加えた世帯の収入は、53万8千円である。そのうち、過去のローン返済(国債費)と田舎への仕送り(地方交付税)で、40万円が消え、家族が衣食住に使える可処分所得(生活費)は13万円しか残らない。しかし、通院費・薬代(社会保障関係費)に23万4千円もかかり、教育費(文教・科学振興費)や家の補修(公共事業)などの出費も大きい。毎月の出費が、月収を43万円も上回り、毎月カードローン(国債発行)で借金を重ねている。積もったローン残高(国債発行残高)は、6800万円で返済のめどは全くたっていない。


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(3)家計貯蓄率、最低の6.2%(12/26) ***

 内閣府によると、2002年度の国民経済計算では、家計が可処分所得からどれだけ貯蓄に回したかを示す家計貯蓄率は6.2%と、前年度より0.3%低下し、過去最低となった。所得が減っても、消費は簡単に切り詰められないためである。また、高齢化で貯蓄を崩して生計をたてる世帯が増えていることも背景にある。

 所得から税金や社会保障費を引いた手取り収入である可処分所得は、前年度比1.5%減の399兆5千億円となった。2年連続の減少で、90年度以来の400兆円割れとなった。これに対し、消費は0.2%減の小幅な減少となった。

 今後も、年金の保険料引き上げや増税などが家計を圧迫し、貯蓄率は低下しつづけるとの予想が多い。


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[世界経済]

(1)欧州企業、ユーロ高抵抗力(12/22) **

 欧州経済が、ユーロ高にもかかわらず、底固さを示している。ドイツ企業を中心に、受注が改善し、輸出企業も為替変動への抵抗力をつけてきた。

 ユーロ圏12カ国の10月の鉱工業生産指数は、前月比で1.1%上昇し、ドイツ製造業受注も、前年同月を3%程度上回るペースである。また、現在のユーロ相場は、歴史的に見れば高くはないともいえる。ドイツマルクが存続していたと仮定すると、現在の相場は、1ドル=1.5マルクであり、95年につけた1ドル=1.35マルクよりドル高(マルク安)である。しかし、マルク高が続けば、経済回復のリスク要因となる。


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[規制緩和]

(1)規制改革、大きな進展なし(12/23) **

 政府の総合規制改革会議は、最終答申を決定し首相に提出した。6月に決めた12の規制撤廃・緩和項目の進み具合の評価と、新たに提起した車検制度の見直しなど5項目を盛り込んだ。医療、農業分野など抜本的な規制改革は、関係省庁の抵抗で先送りされ、「大きな進展は図られていない」と総括した。

 12項目のうち、具体的な進展があったのは、小売店での医薬品販売、幼稚園・保育所の一体化、高層住宅の容積率緩和、職業紹介事業の開放促進の4つであった。株式会社による医療機関経営の解禁や学校経営の解禁、農地取得の解禁などは、各省庁との検討状況を示すに留まった。

 規制改革は、新たな需要や民間部門の効率化により、日本経済を本格回復させる重要な手段である。政府の経済財政諮問会議でも、これまで以上のスピードで進めない限り、日本経済の再生は難しいとの意見も出ている。規制改革会議は、2004年3月に新たな規制改革推進3カ年計画をまとめ解散し、役割を終え、後継組織に引き継がれる。


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(2)道路公団民営化最終案―否めぬ後退感(12/21) **

 道路四公団民営化で政府がまとめた最終案では、四公団の地域分割などでは、国交省が民営化推進委員会に譲歩した格好となったが、対立していた国の整備計画路線9,342キロの扱いには踏み込まなかった。新規の建設抑制という当初の狙いが薄められた感は否めない。

 同案では、料金収入を新規建設に回さないという推進委の主張を退け、新会社が間接的に料金収入を活用する方法を取り入れた。また、新会社に経営自主権を認めはしたが、自民党道路族は、新会社が建設に否定しても、国と地方の負担による新直轄方式を採用したり、企画を変えたりしてコスト減を図れば、9,342キロの建設は可能と見ている。


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