11月第2週(11/2〜11/8)*印が多いほど頻出(最高3つの*)


[日本経済]

(1)経済財政白書―「底離れが改革の成果」とは短絡的 **

 2003年版の経済財政白書の内容は、明るさに包まれている。株価の上昇、成長率の上方修正など、景気に前向きの動きが出てきたからである。底離れには、2つの動きが働いている。第一は、アメリカ経済の急回復である。第二は、企業の骨身を削るリストラである。しかし、これらは、政府の構造改革の成果とはいえない。財政構造改革は、狙いとは逆の結果となった。緊縮予算により、デフレ不況が一段と深刻化し、税収が3年間で約9兆円も減少している。

 白書は、景気の明るさにより、デフレに対して楽観的であるが、日銀は展望レポートにより、来年度もデフレが続くとの見通しを示している。白書に比べ、日銀のデフレへの認識は、はるかに厳しいものがある。

 また、白書は、年金改革を取り上げ、少子高齢化のため年金保険料の負担増を求める一方で、過度な負担は成長の阻害要因になると警告している。将来の負担増などが消費抑制など景気低迷の一因とすれば、年金制度の見直しこそが構造改革の柱となるはずである。


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(2)9月の景気一致指数改善(11/7) ***

 内閣府の9月の景気動向指数によると、現状を示す一致指数は83.3%と、景気判断の分かれ目を示す50%を大幅に上回った。8月は50%であったが、景気の持ち直し傾向を裏付ける内容となった。同指数は、4ヶ月連続で50%以上となった。内閣府は、一致指数の基調判断を、「改善している」として、これまでの「横ばい」から、6ヶ月ぶりに上方修正した。また、景気の動きより半年ほど先行する先行指数も、80.0%であった。

景気動向指数については、重要30用語参照)


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(3)法人企業動向調査―7〜9月の景気判断2年9ヶ月ぶりプラス(11/8)***

 内閣府の7〜9月期の法人企業動向調査(9月調査)によると、企業の景況感を示す景気判断指標(資本金1億円以上の4510社を対象に、国内景気が前期と比べ「上昇している」と答えた企業の割合から「下降している」と答えた企業の割合を引いた数字)は、プラス7となり、4〜6月期比28ポイント大幅に改善した。企業収益の改善や株価上昇などが、改善の要因とみられる。

 内閣府は、企業の景況感の判断を「改善している」とし、前期の「持ち直しの動き」から上方修正した。先行きの指標も、10〜12月期がプラス15、1〜3月期がプラス21と好転が続く見通しである。

 2003年度の設備投資も、全産業で前年度比1.2%増と3年ぶりにプラスとなる見通しである。


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[世界経済]

(1)フランスの財政協定違反の是正勧告、結論先送り(11/5)***

 EU財務相理事会は、フランスが財政協定(財政赤字を対GDP比で3%以下に抑えるという協定)に違反しているとして欧州委員会がフランスに是正勧告をした問題について、結論を先送りすることを決めた。この勧告は、財政協定の順守を2005年まで猶予する一方で、2004年については閣議了承済みの予算案より、さらに対GDP比0.4%分の赤字削減を求めている。

 4日の理事会で勧告を承認する予定であったが、フランスが景気への配慮のため難色を示し、意見調整が難航した。結局、フランスが赤字削減のための追加措置をとることで、ひとまず合意した。しかし、欧州委の勧告が棚上げされたことは、ユーロの安定を目的とする協定の屋台骨を揺るがす懸念がある。既に財政健全化を進めているオーストリアなどは、フランスの姿勢に批判を強めている。

 一方、ドイツでも、財政赤字が対GDP比で3%を超える協定違反の状態が続いており、今後協定見直しの議論が本格化するのは必至である。


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(2)アメリカ就業者12万6000人増(11/8) ***

 アメリカ労働省によると、10月のアメリカの失業率は6.0%で、前月比0.1%改善した。景気動向を敏感に反映するとされる非農業部門の就業者数も、前月比12万6千人増加し、3ヶ月連続で改善した。

 3年以上続く雇用減少の背景には、生産の海外移転やITによる生産性向上などの構造要因がある。過去1年間では、月平均5万3千人減少している。

 ここに来て雇用の減少にストップがかかりつつあるのは、景気拡大により、企業の在庫積み増しによる工場の操業率向上などが広がっているためであると見られる。7〜9月期の実質GDP成長率が前期比7.2%(年率換算)となり、持続的な成長と雇用の創出ができるとの見方が広がっている。


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