12月第1週(11/30〜12/6)*印が多いほど頻出(最高3つの*)
(1)足利銀行破綻処理決定、一時国有化(11/30) ***
政府は、足利銀行が9月末で1,023億円の債務超過に陥ったとして、預金保険法102条により、金融危機対応会議を開き、一時国有化(特別危機管理)することを決めた。銀行の一時国有化は、地方銀行では初めてである。破綻処理による資本注入額は、最終的に1兆円超になる見込みである。足利銀行の預金は、全額保護され、同銀行は週明けも通常通り営業を続ける。
足銀は、栃木県で預金量、貸出額とも40%を超えるシェアがあり、地域経済に大きな影響力をもっている。これを勘案し、一時国有化が決定した。同時に、預金保険機構は、持ち株会社のあしぎんフィナンシャルグループが保有する足銀の全株式を、ゼロ円で強制取得し、国の管理下に取り込む。
足銀は、不良債権の大幅な引当不足を指摘された上、将来戻ってくるとみなし、計上を見込んでいた繰り延べ税金資産1,208億円の全額取り崩しを、監査法人に求められた結果、債務超過に陥った。
(2)7〜9月期の設備投資2期連続増(12/5) ***
財務省の法人企業統計によると、金融・保険業を除いた全産業の設備投資は、前年同期比0.4%増の9兆2,697億円と2期連続の増加となった。ただ、伸び率は前期の6.4%増から大幅に低下した。製造業は、7.7%増と、2期連続で増えたが、非製造業は、六本木ヒルズ等の大規模ビル開発が一段落したため、前期の7.7%増から3.1%減となった。
(3)10月の景気動向一致指数100%(12/6) ***
内閣府によると、10月の景気動向指数は、一致指数が100%となり、景気判断の分かれ目となる50%を、6ヶ月連続で上回った。一致指数が50%を上回れば、景気は上向きとされる。そのため、2002年1月を景気の谷とする今回の景気回復の期間は、21ヶ月に達し、戦後最短であった前回の回復期間(1999年2月から2000年10月)を、上回った可能性が強い。
(1)鉄鋼セーフガード、アメリカ政府が撤廃へ(12/2) **
世界貿易機関(WTO)協定違反とされたアメリカの鉄鋼セーフガード(緊急輸入制限)措置を、アメリカ政府が撤廃する見通しとなった。完全撤廃されれば、日本、EUなどは、アメリカに対する報復関税の発動を取り下げ、大規模な通商紛争に発展する事態は回避される。
アメリカの鉄鋼業界はセーフガードの存続を強硬に主張しているが、アメリカ政府は、日・EUなどの報復で多くの輸出品が打撃を受ける懸念があるほか、国内の鉄鋼ユーザー業界から撤廃を求める声が強いことなどを、総合的に判断したと見られる。
これに対し、日本政府は、反ダンピング措置(反不当廉売措置)など、新たな条件をつけてくる恐れがあるため、アメリカの対応を慎重に見極めていく方針である。
(WTOについては、「重要30用語」参照)
(1)京都議定書、ロシア批准に否定的(12/3) ***
地球温暖化防止のための京都議定書批准問題で、ロシアのアンドレイ大統領補佐官は、「現在の形の京都議定書は、ロシアの経済成長を阻害する恐れがある」と語り、批准に否定的姿勢を示した。ロシアは、今夏、同議定書の批准の方針を表明し、WTO加盟交渉と連動させることを狙ってきた。しかし、秋以降のEUとの交渉で、ロシアの天然ガスの内外価格差是正(外国でのダンピングの是正))などの難問を突きつけられ、WTO加盟交渉は進展していない。
(京都議定書については、「重要30用語」参照)