10月第2週(10/5〜10/11)*印が多いほど頻出(最高3つの*)


[日本経済]

(1)金融庁が貸し渋り監視強化(10/8) ***

 竹中金融相は、中小企業への貸し渋りの監視強化など4項目の地域金融対策を発表した。地域銀行に貸し出し努力を促すのが目的である。この背景には、不況の長期化で資金需要が落ち込み、地域機関の収益力と貸出余力が低下している事情がある。

 中小企業庁によると、大手銀行以外の地域金融機関の貸出残高は、2000年末以降1〜3割減少した。また、不動産担保の価値の低下で不良債権処理の遅れも目立つ。大手銀行に比べ、地方銀行の不良債権の処理速度の遅れは明らかである。

 金融庁の今回の対策だけで、2005年4月のペイオフの全面解禁までに、地域金融機関の安定化を図れると見る向きは少ない。「金融危機をもたらす懸念があれば、地域金融機関へ公的資金を投入する」との姿勢を鮮明にしてきたのもそのためである。金融庁が検討している予防的な公的資金注入制度の法案も地域金融の再生が主眼であるとの見方が強い。金融再生の焦点は、中央から地方へ移っている。

ペイオフについては、重要30用語参照)


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(2)8月の景気動向、一致指数4ヶ月連続50%上回る(10/8) ***

  内閣府によると、8月の景気動向指数で、景気の現状を示す一致指数は、55.6%となり、4ヶ月連続で景気判断の分かれ目となる50%を上回り、景気の回復傾向を裏付けた。ただ、冷夏の影響で、7月の80.0%から低下した。


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(3)日銀追加策―量的緩和2兆円増(10/11) **

 日銀は、日銀当座預金残高の上限を2兆円引き上げ、32兆円にすることで、円高の不安要因を消し去ることを狙っている。また、量的緩和策を解除する条件を明示し、長期金利の上昇の抑制を狙っている。

量的緩和策を解除する条件

1 消費者物価上昇率が、数ヶ月間ゼロ以上になる。

2 政策委員の多くが、先行き消費者物価上昇率がゼロ%越える見通しを持つ。

共に、景気を下支えする効果はあるが、金融政策だけでは顕著な効果は難しく、政府も一体となった取り組みが欠かせない。

 日銀は、最近景気判断を上方修正したが、追加緩和に踏み切る異例の対応を取った。これは、急激な円高が日本経済に強いリスクをもたらす可能性があるからに他ならない。この1ヶ月間で、約8円も進んだ円高は、輸出主導の景気回復を揺るがし始めている。


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[世界経済]

(1)回復遅れる欧州景気(10/6) ***

 欧州景気の回復が遅れている。主力ドイツは、三・四半期連続のマイナス成長である。アメリカや日本の持ち直し傾向と対照的である。設備投資も建設投資もマイナスの伸びであり、今年の実質成長率は、ゼロ近辺がせいぜいである。一方で、企業の景況感は、5ヶ月続けて改善し、来年には回復軌道に乗るのではないかといえる。

 ドイツの問題は、雇用である。来年も、減税などを前提にしても低成長であり、今冬には失業者が500万人の大台に乗る恐れも否定できず、失業率は来年も10%程度で高止まりするものと見られる。

 欧州景気が長期低迷する理由の一つが、ユーロ高である。特に輸出依存型のドイツ経済にとり、打撃である。ユーロ高が、どこまで進むのか予想が出来ないのは、不安材料である。日本の通貨介入や中国の人民元の対ドル連動制が欧州企業の競争力低下を招いているのは、明らかである。

 また、欧州企業の高コスト構造の是正も必要である。企業を圧迫する税や社企保障の負担を下げなければならない。ドイツ産業連盟は、所得税の最高税率を30%に、社会保険料率を42%から35%に下げるように求めている。そして、日本人は、週40時間以上働くのに対し、ドイツは平均36時間である。労働慣行も変えないと成長できないとしている。


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[知って得する数字―大手銀行の不良債権残高]

1999年度 19.8兆円
2000年度 19.2兆円
2001年度 27.6兆円
2002年度 20.7兆円

[寸評]2000年度は、大型倒産が増加し不良債権が大幅に増加したが、2002年度は、政府の金融再生プログラムにより、不良債権処理が加速され、大幅に残高が減少した。


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