10月第5週(10/26〜11/1)*印が多いほど頻出(最高3つの*)


[日本経済]

(1)繰り延べ税金資産、6項目明示義務付け(11/1) **

 金融庁は、不良債権の引き当て処理などで納めた税金が将来戻るとみなして自己資本に参入する繰り延べ税金資産を、大手銀行が計上するときに、過去5年の課税所得など6項目の開示を義務付けると発表した。主要11行は、9月中間決算から実施する。具体的には、次のとおりである。

ア.計上額の裏づけとなる将来の課税所得を何年分まで見積もったか(最大5年)

イ.過去5年間の課税所得

ウ.アの見積もり期間中の本業のもうけ(実質業務純益)の予想額の合計

エ.同期間中の税引き前純利益予想額の合計

オ.同期間中の課税所得の見積り額の合計(この額が繰り延べ税金資産の上限値なる)

カ.繰り延べ税金資産が生じた原因

不良債権に関しては、「重要30用語」参照)


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]

(2)デフレ脱却なお遠く(11/1) ***

 日本銀行が、31日発表した「経済・物価の将来展望とリスク評価」(10月展望リポート)は、消費者物価指数の前年比上昇率が、2003,2004年度ともマイナスが続くという見通しを示し、デフレ解消が容易ではないということを印象付けた。日銀は、当面金融の量的緩和を維持し、緩和効果が経済全体に行き渡るよう全力を挙げる方針である。デフレが続くと予想しているのは、景気回復は緩やかであり、需給ギャップが幾ばくか縮まるとしても、デフレ解消までは行かないと見ているためである。

 10月以降は、前年比上昇率がプラスになる可能性もあるが、医療費の負担増加分や、タバコ税、発泡酒の増税分が0.3%程度押し上げている特殊要因があり、これがはげおちる来年度は、再びマイナスになる可能性が強いと、日銀は見ている。

デフレに関しては、「重要30用語」参照)


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]

[世界経済]

(1)アメリカ、7〜9月期の成長率7.2%増の高い伸び(10/31) ***

 アメリカの7〜9月期の実質GDP成長率が、前期比7.2%増(年率換算)と19年半ぶりの高い伸びとなり、アメリカ経済が成長軌道に乗ったとの見方が広がっている。6.6%増の大幅な個人消費の回復と11.1%増の堅調な設備投資が、景気を支えている。市場では、失業率の高止まりなどから、景気の先行きを懸念する向きもあり、早くも10〜12月期の統計に注目が集まっている。

 スノー財務長官は、2003会計年度(2002年10月〜2003年9月)の財政赤字が過去最高になったと発表した声明で、経済成長による税収増が、財政赤字を解決するという楽観的な見通しを示した。

 一方、二・四半期連続で、物価変動を示すGDPデフレーターが1%台の低い伸びにあるため、FRBはデフレ対策として政策金利を現行の年1%に据え置いた。また、9月まで、9年ぶりに、6ヶ月連続で失業率が6%台に高止まりし、雇用喪失下での景気回復は、構造的な問題として、長期化する懸念もある。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]

[知って得する用語―日銀展望リポート]

 2000年10月から日本銀行が4月と10月に公表してきた「経済・物価の将来展望とリスク評価」の通称である。この10月のリポートから、リポートにある経済の先行きについての「標準シナリオ」と実態がずれていないか、3ヵ月ごとに中間評価する制度を導入した。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]