10月第1週(9/28〜10/4)*印が多いほど頻出(最高3つの*)
(1)東京三菱、一年前倒しで不良債権比率半減(9/29) **
東京三菱銀行は、貸し出し資産に占める不良債権の比率が9月末で3%台後半に下がり(現在の不良債権残高は、1兆4〜5千億円)、政府が金融再生プログラムで定めた2002年3月(同比率7.91%)比で、半減させる目標に到達する。この目標の期限は、2005年3月であり、一年半前倒しでの達成である。目標に到達するのは、4大銀行グループで初めてである。不良債権が大幅に減ったのは、整理回収機構(RCC)に一括売却し、帳簿から切り離し最終処理を加速したのが主因である。また、不良債権の新規発生も大幅に減少した。
同銀行は、不良債権処理損失の減少で、今年度は二期ぶりに黒字転換する見通しである。
(2)9月日銀短観―輸出頼みの好転(10/2) ***
日本銀行が発表した9月の企業短期経済観測調査(9月短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が、大企業・製造業で2年9ヶ月ぶりにプラスに転じ、日本経済がトンネルからようやく脱しつつあることを印象付けた。改善した背景には、輸出主導の業績回復や株価上昇があるが、加速する円高は今後懸念されよう。非製造業や中小企業は、依然マイナスであり、デフレの解消も難しく、政府・日銀の一層のてこ入れが求められている。(「日銀短観」については、週刊トピック「経済事情―重要30用語」参照)
大企業 | 中小企業 | |
製造業 | 1(6) | −23(5) |
非製造業 | −13(0) | −31(4) |
(カッコ内は、前回調査と比べた変化幅) |
(3)りそな再スタートから100日―V字回復へ課題多く(10/4) **
1兆9600億円に上る公的資金の注入を受けたりそなホールディングス(HD)が、新経営陣により再スタートを切って4日で100日になる。新経営陣の最大の課題は、資産の再査定や経営が悪化した親密な融資先企業の整理など、旧経営陣の残した負の遺産を一掃する作業である。厳しい基準で査定した結果、りそなHDの今年度の不良債権処理額は、1兆円規模に膨らみ、9月中間決算の税引き後利益は、1兆円を超える赤字となる見通しである。また、公的資金注入で自己資本が比率が12%程度に高まったが、厳しい査定により7%程度に下がる可能性がある。予想を大きく上回る赤字に、民主党などから、公的資金の注入時にりそなは債務超過だったのではないかという批判が出る可能性もある。
(1) 郵政公社発足半年―民営化備え事業拡大(9/30) **
郵政三事業(郵便、郵便貯金、簡易保険)を引き継いだ日本郵政公社が、4月に発足してから半年になる。同公社は、民営化後のライバルとの競争に備え、事業拡大攻勢をかけている。これに対し、郵貯・簡保と競合する銀行と生命保険は、法人税の免除など官業の特典を残したままの事業拡大は、民業圧迫にほかならないと反発を強めている(8月末の郵貯残高は約231兆円で、国内銀行全体の半分近い額である。また簡保は約120兆円の資金を抱える)。
郵貯に関連する金融業務では、郵便局窓口での投資信託の販売を検討中である。証券会社からの委託を受け販売し、手数料を得るのが目的で、来年秋からの実施を目的としている。また、公社は、民間生保の主力商品である「定期付き終身保険」の販売を総務省に申請し、同省は来年1月からの販売を認める方針である。
公社が最も注力しているのは、4月時点で5782億円の債務超過に陥っている郵便事業の立て直しである。新サービスを次々に投入しており、8月には、東京都と横浜市の2局で、空きスペースを利用したコンビニをオープンし、10月からは定形外郵便物を平均3.5%値下げする。ただ、民間宅配便会社との競争は激しく、規制が厳しい公社のままでは、民間に対抗できないとし、公社側から民営化待望論も挙がっている。
資産をすべて処分しても、借金などの負債を返せない状態であり、極めて危険な財務状況である。企業などで、欠損金が、資本金、法定準備金、剰余金などの自己資本の合計額を上回り、資本勘定がマイナスになった状態である。 |