3月第2週(3/7〜3/13)*印が多いほど頻出(最高3つの*)


[日本経済]

(1)成長率下方修正、景気回復に伴う在庫減(3/11) **

 内閣府が、10日発表した昨年10〜12月期のGDP改定値では、実質GDP成長率は前期比1.6%増、年率換算で6.4%増に下方修正された。これは、企業が抱える在庫が大幅に減少したためである。在庫は、増えればGDPを押し上げ、減れば押し下げる。速報後に公表された法人企業統計で、在庫の大幅な減少が判明し、実質GDP成長率が0.3%押し下げられた。

 一般に、企業は景気後退で需要が減ると、在庫を抑制する。一方、景気拡大の初期には、需要増に生産が間に合わず在庫が減る場合もある。今回は、デジタル家電需要増や中国向け輸出の拡大で、生産が追いつかなかったケースで「良い在庫減」との見方が多い。


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(2)メキシコとのFTA最終合意(3/13) ***

  メキシコとの自由貿易協定(FTA)で、両国は協定締結で最終合意した。政府は、来年1月の発効へ向け、詰めの調整に入る。

  日本のFTAは、2002年に発効したシンガポールに次ぎ2カ国目であるが、農産物を含む包括的なFTAは初めてである。その骨子は、下記のとおりである。政府は、今後韓国、タイ、フィリピン、マレーシアとのFTA締結交渉を本格化させる。

 [FTA合意の骨子]

1.日本は、豚肉やオレンジ果汁など農産品5品目に低関税枠を設定する。

2.メキシコは、自動車関税を7年目に、鉄鋼関税を10年以内に撤廃する。

3.相互の投資家に内国民待遇と最恵国待遇を付与する。

4.メキシコは、政府調達で、日本企業を差別しない。

5.貿易・投資を促進するためのビジネス環境委員会を設置する。

6.仲裁裁判所など紛争処理機関を整備する。

FTAについては、「重要30用語」参照)


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[競争政策・規制緩和]

(1)関電、大口電力値下げー自家発電に対抗(3/10) **

 関西電力は、4月から大口需要家向けの昼間電力料金を最大約20%引下げる。ガスを使う自家発電システムの拡大や新規参入業者の攻勢に値下げで対抗する。4月からの電力小売り自由化の拡大によりガス会社などとの競争が激化するとみられ、他の大手電力の追随は必至である。

 料金引下げの要因は、ガスの自家発電や新規参入業者に需要を奪われているためである。全国の自家発電の能力は、2002年度末で3,457万kwで、95年度末に比べ1.4倍に増え、現在では総発電設備の13%を占める。関電は、2003年末時点で、大口需要家2000件のうち60件を新規電力事業者に奪われた。関電の2003年度の販売電力量は、前年度比2%減の1,390億kwhに落ちこむ見通しで、昼間の電力も余剰傾向にある。他の大手電力も事情は同様である。


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(2)政府の規制改革・民間開放推進三カ年計画(3/11) ***

 政府の規制改革・民間開放推進三カ年計画は、民間有識者からなる規制改革・民間開放推進会議を中心に、国が規制改革に取り組む姿勢を明確にした。首相は、民間の知恵を活用して、官から民への改革を実現する考えである。

 最大の特徴は、同会議に規制改革の進ちょく状況を監視する機能を与えたことである。現在の総合規制改革会議は、改革の審議が重視され、監視機能は明確ではない。会議が自ら監視機能をもつことで、改革のスピードアップを図る狙いである。会議の監視機能を裏付けるために盛り込んだのが、規制影響分析(RIA)の導入である。規制がもたらす高コスト体質や、改革に伴う効率アップを数値化して公表し、規制改革の必要性について理解を得る目的がある。

 計画では、会議が構造改革特区推進本部との連携を強化し、同本部に寄せられる要望を会議が一体となって実現させる。また、規制改革に公正競争が欠かせないため、公正取引委員会との密接な協力体制を維持することも明確にした。

 しかし、計画に盛り込まれた「株式会社による医療機関経営」などは、所管官庁や関係団体の強い反対にあっているテーマであり、改革を推進するためには、首相の強い指導力が必要とされる。


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