3月第3週(3/14〜3/20)*印が多いほど頻出(最高3つの*)
(1)3月月例経済報告、景気回復続く(3/16) ***
竹中経済財政相は、関係閣僚会議に3月の月例経済報告を提出した。景気の現状については、設備投資と輸出に支えられ、着実な回復を続けているととして、前月までの景気判断を維持した。竹中経財相は、「企業部門が景気をけん引しているが、それが家計部門に出てくれば基調判断を上方修正できる」とし、所得や雇用の改善が必要であるとした。
個別項目では、消費は、家電販売の増加などを理由に、「持ち直しの動きが見られる」から「持ち直している」に上方修正された。住宅建設も、住宅ローン減税の延長や金利先高観を背景に、分譲マンションの着工が増えているため、「横ばい」から「増加している」に上方修正された。輸出は、中国向けを中心にアジア向けが大きく伸びているため、「大幅に増加している」に上方修正された。
(2)「日銀福井丸」一年(3/20) **
日本銀行の福井総裁が就任して、20日で一年になる。難局を切り抜けてきた福井総裁の手腕には高い評価が寄せられている。それは、データにも裏付けられている。日経平均株価は、この一年で約3,200円余り上昇した。企業業績も改善し、実質GDP成長率は、2003年10〜12月期に年率換算で6.4%増と13年半ぶりの高成長を記録した。円高が懸念される状況で、昨年10月と今年1月に、追加金融緩和策に踏み切り、政府との協調で景気の腰折れをふせぐことにも貢献した。
一方で、消費者物価上昇率が安定的に0%以上になるデフレからの脱却からは、程遠い。デフレ克服は、二年目の最大の課題である。
(1)道路公団民営化、民間会社の規律はどこに(3/14) ***
3月9日の閣議で。道路関係四公団を2005年度中に民営化する道路公団民営化四法案の国会提出が決定された。
道路公団民営化の目的は、野放図な道路建設を行わず郵貯・簡保から借り入れた40兆円にも上る債務を返済し、将来の国民負担を最小化することである。そのために、自立した民間企業に変え、無駄な事業を行わない仕組みを作る必要があった。民間企業の規律とは、事業の効率化により強い財務体質をもち、自力で資金調達を行い、収益をあげ、投資家に還元することをいう。それを怠れば、経営者の交代や倒産という事態になるという緊張感を常にもっている。それゆえ、無駄な道路にはお金を使わず、子孫に負担をかけないと信頼できるのである。一昨年の道路公団民営化委員会の報告書は、こうした規律が新会社に働くように、苦心の結果まとめたものである。
しかし、今回の法案は、このような条件を満たしていない。新会社は、政府保証つきで資金調達をし、高速道路を建設し、完成後の道路と債務を新たに設立される独立行政法人である日本高速道路保有・債務返済機構に移す。同機構は、現在の四公団の資産と約40兆円の債務も引き継ぎ、新会社に高速道路を貸し付け、その貸付料により債務を返済し民営化後45年で完済するという。完済後、機構は解散し、道路は無料開放される。そして、新会社は、毎年国土交通大臣に業務計画の認可を受ける。独立行政法人は、国の一部といえ、これでは民間企業の規律は働かない。国交省は、新会社は建設の拒否権があるため、無駄な投資はないとういうが、資産と債務は国に全面的に面倒を見てもらう会社に、政治からの圧力を跳ね返せる規律は見いだせない。
民営化とは、誰が担当大臣になろうと、どのような政治情勢であろうと、独立採算事業として投資家が厳しく経営監視する仕組みを作ることであり、将来世代への負担の付回しを防ぐためのものである。今回の法案の仕組みは、特殊法人的な旧態依然の規律のままである。