3月第5週(3/28〜4/3)*印が多いほど頻出(最高3つの*)


[日本経済]

(1)東証一部の企業の2割超、最高益(3/29) ***

 今年2月と3月に決算期を迎える東証一部上場企業のうち、2割強の企業が過去最高の経常利益と最終利益を更新する見込みであることが分かった。過剰債務の削減や人減らしで企業の財務内容が改善したことに加え、株価の上昇など経済環境の好転も後押しした。

 東証一部上場企業のうち、金融・保険業を除く1,238社の見通しでは、総売上高が前年比1.2%増であり、経常利益は17.9%増であり、最終利益が64.5%増であった。

 好業績をけん引したのは、製造業の効率アップであった。資本の効率利用を示す総資本利益率は、昨年の4.3%から今年は5.3%に向上した。昨年は、効率性の目安とされる3%を下回った業種が9業種に上ったのに対し、今年は石油と非鉄金属の2業種のみに改善されている。


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(2)労組組織力の低下(3/30) **

 一律の賃上げを目指して労働組合が一致団結したかつての面影は、今はない。連合が春闘要求基準からベースアップ(ベア)という言葉を削ったのは、2年前である。今春闘でベースアップを要求したのは、日産自動車など一部企業のみであった。一時金も、電気、鉄鋼を中心に業績連動方式を導入する企業が増え、春闘交渉で決まる余地は狭まり、労組の衰退を一段と鮮明にした。

 労組の組織率は、昨年6月末で19.6%と組織維持の防衛ラインと言われた20%を初めて割り込んだ。昭和24年の55.8%をピークに、半世紀で3分の1近く低下したことになる。雇用労働者の約5,300万人のうち、労組組合員は約1,050万人にすぎない。労組は、労働者の代表とはいえなくなっているのが現状である。

 労組の力が低下するばかりでは、社員は防波堤を失い強風にさらされる。労組をどう 再生するのか、社員自身が問われている。


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(3)新制度続々―企業活動どう変わる(4/1) ***

 4月1日から企業活動を取り巻く制度が変わり、各企業の戦略にも影響を与えそうである。地方税の法人事業税に外形標準課税が導入され、中小企業への消費税の特例が見直される。電力・ガスの自由化拡大や薬価の引下げは、関係する業界の業績を左右する。

 企業が支払う法人事業税は、これまで課税所得の9.6%が標準的な税率であったが、外形標準課税では、利益への税率が7.2%に引下げられ、新たに人件費などへの税率が0.48%、資本金額に0.2%課税されるようになった。東京都など7都府県は、税率をさらに高くした。対象企業は、資本金1億円超の企業3万3千社で、全事業者の1.3%である。税収は景気により左右されにくくなるが、対象企業は赤字になっても税負担が生じる。UFJ総合研究所の試算では、上場企業の税負担は、1社当たり900万円増える。

 消費税では、価格の総額表示方式の実施とともに、免税となる自営業者の売上高は3000万円以下から1000万円以下に引下げられる。

 電力は、1日から自由化範囲が拡大し、これまでの大規模工場(契約電力2000kw委以上)に加え、オフィスビルや大規模スーパーなど(同500kw以上)も対象となる。例えば、イトーヨーカ堂も全国155の店舗が対象に加わるため、購入先の切り替えを検討している。一方、ガスは、大病院やシティホテル(年間契約量50万立方メートル以上)が、自由に購入先を選べるようになる。ガス会社は約230社もあり、地域ごとの再編・集約が進むとみられる。

 そして、処方される薬価(国が定める販売価格)が、4月から平均4.2%引下げられる。薬は、先発品といわれる新薬と、新薬の特許期間が切れた後の後発医薬品に分かれる。後発医薬品は、先発品に比べ8割以下の価格であったが、7割以下に引下げられる。この改定で、大手製薬会社1社分の3,000億円の収入が減ると言われる。

外形標準課税についは、「重要30用語」参照)


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(4)3月短観、小売り薄日、回復へ弾み(4/2) ***

 日本銀行の3月の企業短期経済観測調査(3月短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が、大企業の非製造業でも7年4ヶ月ぶりにプラスに転じるなど、景気回復のすそ野が小売りなどにも広がっていることを示した。しかし、輸出依存の回復は、アメリカや中国などの景気に依存している面が強く、日本経済の前途には依然多くの不安材料が横たわっている。

[3月短観の主な指標] 
企業の規模 12月 3月
大企業・製造業 12
大企業・非製造業
中堅企業・製造業 −3
中堅企業・非製造業 −12 −7

日銀短観についは、「重要30用語」参照)


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(5)公的資金新法案、地銀など90組合併想定(4/3) **

 金融機関に予防的に公的資金を注入できる「金融機能強化特別措置法」案のための政府保証枠2兆円の積算根拠が、2日明らかになった。90組の地域金融機関の合併を想定し、金融庁が計算した。積算では、自己資本比率が平均より高い地域金融機関と、低い地域金融機関の合併を想定し、地域銀行(地方銀行と第二地銀)の12行、信用金庫の49金庫、信用組合の29組合が、合併して公的資金注入を申請すると仮定した。

 この90組の合併を前提に、自己資本比率の高い金融機関の同比率を維持するためには約1兆円の公的資金が必要となり、ざらにもう1兆円あれば、合併後の同比率をさらに2%引き上げることが可能としている。

自己資本比率についは、「重要30用語」参照)


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[知って得する数字―株価などの変化]

2004年3月期末 2003年3月期末
日経平均株価 1万1715円39銭 7972円71銭
長期金利 1.435% 0.7%
円・ドル相場 1ドル=103円 1ドル=119円

[寸評] 3月31日の日経平均株価は、前期末から約47%も上昇し、株式市場には強気の見方が広がっている。一方、円高が、日本経済の不安定要因となっていることが分かる。 


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