4月第2週(4/4〜4/10)*印が多いほど頻出(最高3つの*)
(1)日経平均一時12,000円台、市場に強気の見方(4/6) ***
東京株式市場で、日経平均株価が、5日に心理的な節目となる12,000円台に乗せたため、市場では今後も株価の上昇が続くとの強気の見方が増えている。しかし、円高の進展や長期金利の上昇、アメリカ経済の行方など懸念材料も残っている。
この日の相場の主役となったのは、電機、精密、自動車といった輸出関連銘柄である。3月のアメリカ雇用統計で、市場の予想を超える雇用増加が確認され、アメリカ経済後退の懸念が消え、輸出企業の業績向上に期待が集まった。1日発表された日銀短観の結果も市場に買い安心感を生んでいる。
売買の需給面でも、昨年のような大きな売り圧力が消えつつある。金融機関や企業の株式持合いの解消が進んでいる。大和総研の試算では、上場企業の株式含み益は6兆5,000億円に達し、含み損に脅かされた昨年とは一変している。
しかし、円高が進んでいるほか、長期金利も大きく上昇し、その動向次第では株価の先行きの足かせになりかねない。
(日経平均株価については、「重要30用語」参照)
(2)ペイオフ全面解禁まで1年(4/7) ***
普通預金も含めたペイオフ全面解禁は、15年4月に予定されていた。しかし、14年9月に、株安と景気低迷で金融不安が高まり、政府は不良債権最終処理の期限とした17年3月まで延期を決めていた。そして、全面解禁まであと1年を切り、金融機関は、準備に動き出している。第一に、解禁後も全額保護される決済専用預金への対応である。これは、無利子、決済サービスを提供、要求払いの条件を満たした預金で、各金融機関は、来年4月までに、企業が代金支払に使う当座預金(解禁後全額保護)とは別に、個人向けの決済専用預金である無利子の新型普通預金を導入する方向で検討している。
全面解禁に向け、金融機関には、預金者が複数持つ口座情報を一まとめにする「名寄せ」の徹底も義務付けられている。これを怠れば、破綻の際に預金の払戻が計算出来ず、破綻処理が進まない恐れがあるからである。名寄せに関しては、預金保険機構は、各金融機関に対して本格的なチェックに乗り出している。
一方、預金者側は、既に自己防衛の動きに出ている。国内全体の1千万円以上の定期性預金残高は、今年1月末現在83兆円である。定期性預金が全額保護の対象から外れた一昨年4月から約14兆円減った。安全性を求めて、健全な金融機関の選別や決済性預金へのシフトが今後さらに加速すると見られている。
注:ペイオフ・・・預金の払戻保証額を元本1千万円とその利息までとする措置である。
(3)賃金格差の拡大(4/9) **
バブル経済崩壊後、労働市場では雇用形態の多様化が急速に進展した。総務省によると、平成9年から14年までの5年間だけで、正規労働者は399万人減り、パート・アルバイト・派遣・契約・嘱託社員は368万人増えた。非正規社員は、既婚女性に多かったが、最近は男性も増えている。女性労働者の非正規割合が5割を超えたのに対し、男性でも2割近くに達している。最近では、パートや契約社員の中には、正社員の雇用機会がないため、やむを得ずこのような働き方をしている人が増え、賃金面を見ても一般労働者とパート労働者の時間当たりの賃金は拡大傾向にある。UFJ総研の推計によると、正社員とフリーターの年収差は281万円、生涯賃金の差は1億6,300万円にのぼるという。
我が国は、労働市場の流動性が低く、中途採用を行う大企業が少ないため、学校卒業時の景気動向が就職先の企業規模を決め、その後の生涯所得に大きく影響するという指摘がある。社会や企業の活力を維持するためにも、誰もがいつからでも挑戦できる社会