4月第5週(4/25〜5/1)*印が多いほど頻出(最高3つの*)
(1)UFJ,不良債権処理8,000億円(4/25)**
UFJホールディングの04年3月期決算の不良債権処理費用が、金融庁の特別検査により不良債権に対する貸し倒れ引当金の大幅な積み増しを求められ、当初計画より6割増加して約8,000億円になった。3月末の貸出金に占める不良債権の割合は8.4%前後と、他の大手行に比べ高水準に留まる見通しである。
UFJの3月期の決算は、本業のもうけを示す業務純益の約7,000億円超となり、保有株式の売買益が約3,000億円あり、年間約1兆円の利益を確保した模様である。しかし、大半は新たな不良債権処理に費やされる。
(2)消費者物価、下落幅縮小へ−日銀展望レポート(4/29) ***
日銀の経済・物価情勢の展望(展望レポート)によると、政策委員の2004年度の消費者物価見通しの中央値は0.2%の下落で、昨年10月の0.3%より、0.1%縮小した。国内企業物価は、国際商品価格の高騰などを背景に0.2%の上昇を見込んでおり、97年度以来のプラス見通しである。デフレ圧力は緩和の方向にあるが、個人消費に波及するには時間がかかるという判断である。このため、当面、量的な金融緩和を継続する方針である。
[展望レポート2004年度大勢見通し](カッコ内は、中央値)
実質成長率 | 3.0〜3.2%(3.1%) |
消費者物価 | −0.2〜−0.1%(−0.2%) |
国内企業物価 | 0.1〜0.3%(0.2%) |
(3)3月の完全失業率、4.7%へ低下(4/30) ***
総務省によると、3月の完全失業率は、前月比0.3%改善し4.7%となった。男子は4.9%と0.5%改善した。完全失業者数は前年同月比51万人減の333万人と、10ヶ月連続減少した。
また、2003年度平均の完全失業率は5.1%と、過去最悪の前年度比で0.3%改善した。年度平均の完全失業者数は、前年度比18万人減の342万人であった。
一方、厚生労働省によると、3月の有効求人倍率は、0.77倍と前月と同水準であった。雇用の先行指標とされる新規求人数は、前年同月比20.5%増と、21か月連続プラスの伸びを確保している。
(1)中国、過熱景気にショック療法、一部銀行融資停止(4/29) ***
中国政府は、国内の銀行に新規融資の一時停止を求める異例の措置に踏み切った。金融引締め策が効果を上げず、融資の伸びが顕著な銀行を狙い打ちにした格好である。ショック療法で、景気過熱が指摘される景気を冷ます狙いがある。
中国は、98年7月以来、4回公定歩合を引下げてきた。しかし、2003年の成長率が9.1%に達したため、政策を転換し、中国人民銀行(中央銀行)は今年3月に公定歩合を引き上げ、4月25日からは預金準備率を引き上げた。しかし、銀行の第一四半期の総資産の前年同期比伸び率が、34.3%と突出したため、異例の措置に出たものと見られる。 また、1〜3月期の固定資産投資は、43%と急増し、成長率も9.7%の高成長であった。
政府は、インフレを招かず、雇用を吸収し内陸部の開発を促進するには、7%の成長が望ましいとしている。
(2)EU、今日25か国に拡大(5/1) ***
欧州連合(EU)は、5月1日に、中東欧、バルト3国など旧ソ連圏を中心に計10カ国が新たに参加し、25ヶ国体制に拡大し、「大欧州」が誕生する。冷戦時代の東西欧州の分断は、完全に幕を閉じる。
総人口が約4億5千万人、域内GDPは約9兆500億ドルと、アメリカに匹敵する一大政治経済圏となる。EUは、国際的影響力の強化へ大きな弾みとしたい考えである。
EUは、統合の深化に向け、拡大EUの欧州憲法の制定を急ぐ。大統領職の新設や、意思決定方式を定めた欧州憲法は、拡大後初の6月の首脳会議で合意される見通しである。
一方で、抱える課題も多い。新規加盟国の一人当たりのGDP(2002年)は、現加盟国平均の47%程度と半分にも満たない。市場拡大に期待がかかる一方で、新加盟国から高賃金の現加盟国への労働者流入が懸念され、現加盟国は、一定期間移動に規制をもうける。また、ユーロの導入基準を満たす新規加盟国はわずかで、経済安定に多くのEU予算が費やされ、お荷物となると危ぶむ声もある。
(EUについては、「重要30用語」参照)