12月第3週(12/12〜12/18)印が多いほど頻出(最高3つの*)
(1)定率減税、2005年度に半減(12/15) **
来年度税制改正で最大の焦点となっていた所得税と個人住民税の定率減税は、2005年度半減、2006年度原則廃止で決着した。これにより、増税の仕掛け役だった財務省は、消費税率の引き上げを含む本格増税路線にとりあえず道筋をつけたことになる。
財務省が、2006年度までの定率減税の廃止にこだわったのは、2007年度に予定している消費税率の引上げ前に、所得税の見直しを終えておく必要があったためである。在任中の消費税引上げを否定する小泉首相の任期切れ(2006年9月)を待って、消費税引上げを狙う財務省にとり、定率減税は、自らのシナリオを狂わせる存在になりかねなかった。
しかし、公明党が景気への配慮を求めたことで、景気が悪化した場合は、2005年度からの半減も中止があり得るとされた。縮小・廃止は、常に景気動向をにらんで進むことになり、財務省の増税路線は、不透明となり、増収分を年金財源に充てることができるかどうか不明確となっている。
(2)日銀短観、景況感7期ぶり悪化(12/15) ***
日銀が発表した12月の日銀短観によると、企業の景況感を表す業況判断指数[DI](景況感が良いと答えた企業の割合から悪いと答えた企業の割合を引いた値)は、大企業製造業で前回の9月調査に比べ4ポイント悪化し、プラス22となった。悪化は、7四半期振りである。景気のけん引役であったIT関連産業などで、生産や輸出が鈍化した。しかし、大企業非製造業や中小企業の景況感は横ばいかやや改善し、日本経済は踊り場にさしかかりながらも、なお底固さを維持する姿となっている。
一方、雇用の過剰感は薄らいでいる。雇用が過剰と答えた企業の割合から不足と答えた企業の割合を引いた雇用人員判断指数は、大企業製造業で1ポイント低下の6となり、12四半期連続の縮小となり、12年ぶりの低い水準となった。
3ヵ月後の先行き判断指数は、大企業製造業と非製造業が、それぞれ7ポイント、1ポイントの悪化となった。円高や海外経済の減速を背景に、輸出採算の悪化を懸念する見方が強い。
今回(前回比) | 先行き(今回比) | |
大企業製造業 | 22(−4) | 15(−7) |
大企業非製造業 | 11( 0) | 10(−1) |
中堅企業製造業 | 11(−3) | 2(−9) |
中堅企業非製造業 | −4(−2) | −3( 1) |
中小企業製造業 | 5( 0) | −1(−6) |
中小企業非製造業 | −14( 3) | −18(−4) |
(3)12月月例経済報告、2ヶ月連続下方修正(12/17) ***
内閣府の12月の月例経済報告で、政府の景気認識を示す基調判断を「このところ回復が緩やかになっている」とし、2ヶ月連続で下方修正する方針を固めた。2ヶ月連続の下方修正は、2003年1月以来である。
基調判断を下方修正するのは、景気のけん引役であったIT関連部品の生産活動の伸び悩みに加え、暖冬の影響で冬物衣料が低迷するなど、個人消費の伸びも鈍化しているためである。また、12月の日銀短観で、大企業製造業の景況感が1年9ヶ月ぶりに悪化したことも考慮した。ただ、政府は、景気がこのまま落ち込むという状況ではないとの認識を示した。
(1) アメリカFF金利0.25%追加利上げ(12/15) ***
アメリカ連邦準備理事会(FRB)は、定例のアメリカ連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、短期金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%引上げ、年2.25%とすることを全会一致で決めた。生産や雇用などが底固い回復を続け、超低金利政策の修正を急ぐべきであるとした。FRBの利上げは、6月末から5回連続で、即日実施した。