12月第4週(12/19〜12/25)印が多いほど頻出(最高3つの*)


[日本経済]

(1)ミニ経済白書―景気持続、個人消費カギ

 内閣府は、最近の景気動向を分析したリポート「日本経済2004」をまとめた。7月の経済白書の後の日本経済の動きを分析した「ミニ白書」の位置付けである。

 リポートとしては、個人消費が景気の回復のカギであるとしている。その理由として、90年代に大幅に低下した、景気への個人消費の貢献度(寄与率)が、回復しつつある点を挙げた。特に、消費意欲が高い高齢者と20代の若者が、消費全体を下支えしていると指摘した。

 ただ、社会保障制度への不安などを背景に、若い世代の貯蓄率が高まっている点も指摘し、リストラで収益力を高めた企業が、賃金支払いを増やしていくかどうかが、今後のポイントになるとしている。また、日本経済の需要不足が、今年4〜6月期以降再び拡大している点も懸念材料に挙げた。


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(2)景気減速とペイオフ(12/20) ***

 大手銀行の不良債権が減り、金融システムは、危機体制からの出口にさしかかっている。政府は、来年4月にペイオフの全面解禁を行う。ただ、景気は減速観が強まっており、平時体制へ移行ができるのだろうか。金融の安全網である預金保険機構理事長の永田理事長によると、次のとおりである。

 預金保険機構が絡む金融機関の破綻は、この2年で1件だけで、その前の2年間の70件から大幅に減っている。世界的なディスインフレと日本のバブル崩壊に起因する長期的な構造不況の出口に向かっているという大きな認識に揺るぎはない。景気回復に伴い不動産市況が底を打った兆候が出てきている。地方景気は依然厳しく、ペイオフ解禁への不安もくすぶるが、都市部の経済の熱が地方へも伝わりつつある。地域金融機関の不良債権問題も、大手に比べれば緩やかでははあるが改善してきている。針の穴のような不安でもあれば、ペイオフ全面解禁はやらないということではない。

 さて、いままで銀行のリスクを移行した結果、預金保険機構の財務状況が悪化している。一般勘定の借金が5兆円強あり、うち債務超過は3兆5千億円である。しかし、機構には、年5千億円の預金保険料が入るので、破綻がなければ7年で処理できる。

ペイオフについては、「重要30用語」参照)


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(3)国債累積の重荷先送り(12/21) ***

 谷垣財務相は、来年度予算が財政再建の転機となると強調している。政策的経費の一般歳出は、今年度当初予算より3,500億円減らし、ほぼすべての歳出項目にメスを入れた。国債の新規発行額は、4年ぶりに前年度当初予算を下回った。単年度の財政再建度を示すプライマリーバランス(基礎的収支)の赤字は、3兆円縮小し、数字の上では2010年代初頭の黒字化に向け一歩前進した。

 しかし、聖域なき歳出削減の実態は、既に限界に近い。防衛支出や政府開発援助(ODA)などで必死に歳出削減を進めても、国債の利払いと年金・医療費などの社会保障費の膨張(今年度当初予算比5,816億円の増加)が、瞬時にそれを飲み込んでしまう。来年度予算案で一般歳出を減らせた最大の要因は、三位一体改革で、国の地方向け補助金を1兆5,000億円以上削減し、国の歳出を地方に付け替えたことである。

 歳入面は、景気回復に伴う税収増で好転したが、財務省は所得税などの定率減税を縮小・廃止し、せっかく始まった税収の自然増を自ら摘み取りかねないカケに出ている。 新規発行国債はやや減少したが、過去に出した国債の償還財源に充てる借換え債が膨張し、国債発行総額は169兆5,051億円と過去最高になった。そして、国債発行残高は約538兆円と、初めてGDPを超え、年間の利払い費は8.9兆円で、1日当たり243億円である。財務省は、借換え時の金利上昇を避けるため、満期期間の長い国債(長いほど金利が低い)を増発するなどしているが、根本的な解決策ではなく、巨額債務返済の重荷を先送りしているに過ぎない。

プライマリーバランスについては、「重要30用語」参照。借換え債については、「 公務員試験情報サービス」の「財政学ミニ講義」の「5.公債」を参照)


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(4)再処理工場ウラン試験

 日本原燃が青森県六ヶ所村に建設してきた使用済み核燃料の再処理工場が、操業へ向け、最終段階の試験に入った。実際の使用済み核燃料と科学的性質が似た劣化ウランを使い、約1年をかけ、設備の性能を確認する。順調に行けば、2006年7月の操業を目指す。日本が国策として進めてきた核燃料サイクルの中核施設であり、使用済み核燃料を年間800トン処理し、使用できるプルトニウムやウランを取り出す。これにより、ウラン資源を有効活用でき、資源に乏しい日本のエネルギー安全保障にも役立つ。

 茨城県東海村にある核燃料サイクル開発機構の再処理施設やフランスの再処理工場は、長年運転を続けている。再処理は決して難しい技術ではない。

 並行して、核燃料サイクルの確立へ向けた取組みも加速させたい。まず、取り出したプルトニウムを燃料に加工する工場の建設である。再処理工場の敷地内が予定されており、青森県の了解を得る努力が欠かせない。プルトニウム原料を既存の原子炉で利用するプルサーマル計画も、実現を急ぐべきである。電力業界は、国内の16〜18基で利用する予定であるが、四国電力を除いて地元の了解が得られていない。

 これらの課題を一つ一つ解消することで、核燃料サイクルへの理解も広がるであろう。    


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