7月第2週(7/4〜7/10)*印が多いほど頻出(最高3つの*)
(1)景気自立回復色強まる(7/5) ***
日本経済は、バブル崩壊後の長期にわたる停滞から脱し、自立的回復軌道に乗る助走段階にある。企業部門の改善が、雇用など家計部門にも波及し、設備投資と個人消費による内需主導の回復の好循環が生まれつつあり、デフレ脱却も視野に入ってきた。しかし、引締めに転じたアメリカや中国経済の先行き次第では、輸出が鈍化する懸念も残る。安定成長の実現には、日本経済の競争力を高める努力が一層必要である。
(2)政府、7月景気判断上方修正―生産堅調、雇用も改善(7/7) ***
内閣府は、7月の月例経済報告で、景気の基調判断を半年振りに上方修正することを決めた。企業の景況感が明らかに改善する一方、雇用情勢の底入れで個人消費の持ち直しが鮮明になっているためである。
5月の景気動向指数(速報)でも、一致指数は66.7%と景気判断の分かれ目となる50%を3ヶ月ぶりに上回った。数ヶ月先の景気の方向性を示す先行指数も66.7%と前月を上回った。先行指数の上向きは9ヶ月連続で、景気回復が当面続くことを示唆している。これにより、2002年1月を谷とする今回の景気拡大局面は28ヶ月に達し、戦後6番目の長さに達した。
(3)猛暑、景気に追い風―GDP0.1〜0.3%押し上げ(7/9)
猛暑がこのまま続けば、当面は景気回復の追い風となる公算が大きい。民間調査機関では、今年度の実質GDP成長率を、0.1〜0.3%程度押し上げるとの観測が出ている。景気への波及効果が期待できるのは、夏物衣料の売上の増加、レジャー・行楽客の増加、農作物の生育促進などである。
市場では、記録的な猛暑により消費支出が急増した94年の経験を想起する向きが多い。所得税減税の効果もあり、94年7〜9月期の家計消費支出は、前年同期比5.3%増となり、実質GDP成長率を0.7%押し上げる要因となった。第一生命経済研究所は、今年の7〜8月の平均気温が前年より1.4度高い平年並みの27.0度の場合でも、実質GDP成長率を0.14%押し上げると予測している。そして、94年の平均気温の29.3度になれば、0.35%押し上げると予想する。
(4)2004年度の設備投資計画10.4%増(7/10) ***
経済産業省によると、2004年度の国内における企業の設備等計画は、前年度比10.4%増と、90年度の13.1%増以来、14年ぶりの高水準となった。製造業が22.5%と高い伸びとなったが、一般機械、自動車の設備投資、電気機械、電子機械などが、特に高い伸びであった。
調査は、今年3月末に、資本金1億円以上の2,198社を対象に行われた。
(1)ユーロ圏、財務相ポスト創設へ(7/6) **
5日のユーロ圏非公式財務相会議で、輪番議長職を来年初めにも廃止し、任期2年半の閣僚級議長職、すなわちユーロ圏の財務相を創設する構想が浮上し、9月に最終決定することになった。ユーロ圏の議長は、加盟国の財務相が、半年ずつの持ち回りで担当している。EU憲法は、任期2年半の議長制を定めているが、憲法が発効するのが早くて2007年ごろの見通しで、ユーロ圏内では前倒しを求める声が高まっていた。サルコジ仏財務相は、「安定した議長の存在は、ユーロ圏の運営を効率的にする」と強調した。
同会議では、イタリアの財政赤字も話題になり、ベルルスコーニ伊首相(財務相兼務)が総額75億ユーロの赤字削減計画を提示した。欧州委員会は、イタリアに警告を出すように勧告していたが、当面は同国の取組みを見守ることになった。