7月第5週(7/25〜7/31)*印が多いほど頻出(最高3つの*)


[日本経済]

(1)枠組み合意へ全力を傾けよーWTO新ラウンド(7/25) **

 月末までに、加盟147カ国・地域が新貿易ルールの枠組みで一致できるのだろうか。自由貿易推進の新ルール策定で難航する世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉(新ラウンド)が、枠組み合意期限まで、あと1週間を切った。月末合意に失敗すると、アメリカの大統領選挙やEUの執行部の交代により、交渉可能な来春以降の再開すらめどが立たなくなる。昨年秋も、枠組み合意を目指した閣僚会議が決裂しており、失敗を重ねれば、合意に向けた新ラウンドへの加盟国の求心力を失わせかねない。

 日本は、二国間のFTAでも遅れをとっており、新ラウンドによる自由貿易拡大のメリットを受けられないマイナスは大きい。

 交渉全体の取りまとめ役であるWTO一般理事会の大島正太郎議長が、枠組み合意のたたき台を示している。焦点の農業分野は、日本など輸入国側が反対している上限関税の設定について、結論を先送りする内容である。一方で、米豪など輸出国側の主張である関税が高い品目ほど引下げ幅を大きくすることや、低関税輸入数量枠の拡大など代償を条件に引下げを小幅にする例外品目の容認を盛り込み、双方の主張に配慮している。

 米国やEUが条件付で受け入れ姿勢を見せている国内助成の削減や輸出補助金の撤廃も明記された。 議長案に対し、シラクフランス大統領は反対を表明し、途上国グループも先進国を優先していると不満を示している。輸入国側は、上限関税の文言の合意文からの削除や、例外品目の大幅拡大を求めた。

 各国が有利な立場に立つために、主張を戦わせるのは当然であるが、交渉を決裂させては元も子もない。

FTAについては、「重要30用語」参照)


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(2)3月期の銀行の不良債権前年比8.7兆円減(7/31) ***

 金融庁によると、全国128銀行の2004年3月期の不良債権残高が26兆5,940億円となり、前年比で8兆7,450億円減少した。減少幅は、統計を取り始めた99年3月期以来、最大となった。また、貸し出しに占める不良債権の比率も、ピーク時の2002年3月期の8.4%から5.8%まで低下した。

 大手銀行の不良債権残高は、13兆8千億円で、6兆9千億円の大幅減となったことが寄与した。一方、地方銀行は、12兆8千億円で、1兆9千億円減少した。

 不良債権処理による損失は、前年よりも1兆3千億円少ない5兆4千億円となり、本業の儲けである業務純益5兆9千億円を98年度以降で初めて下回った。


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[世界経済]

(1)アメリカGDP大幅な減速(7/31) ***

 アメリカ商務省によると、4〜6月期の実質GDP(国内総生産)成長率は、前期比3.0%増と、大幅な減速となった。これは、世界経済のけん引役を果たしてきたアメリカ経済が、大きな岐路にさしかかったことを示している。原油価格の高騰による物価の上昇が続けば、個人消費の減退による景気の冷え込みも懸念される。

 企業の設備投資や輸出が好調に伸びた半面、個人消費の大幅な減速が、GDP全体を低下させた形である。

 2004年上半期の消費者物価指数は、年率換算で前年比4.9%も上昇し、2003年の1.9%の上昇とは対照的である。物価上昇の要因は、原油の高騰である。28日には、ニュ−ヨーク市場で約2ヶ月ぶりに史上最高値を更新するなど、先行きは予断を許さない。 

[アメリカの実質GDP成長率]
2001年平均 0.5%
2002年平均 2.2%
2003年平均 3.1%
2003年7〜9月期 8.2%
同年10〜12月期 4.1%
2004年1〜3月期 3.9%
同年4〜6月期 3.0%

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