6月第3週(6/13〜6/19)*印が多いほど頻出(最高3つの*)
(1)日銀月報、景気判断を上方修正(6/16) ***
日本銀行の6月の金融経済月報で、景気の現状について、「回復を続けており、生産活 動や企業収益からの好影響が、雇用面にも及んできている」として、景気判断を2ヶ月ぶりに上方修正した。
日銀は、90年以降の2度の景気回復局面では、「緩やかな回復」との認識にとどめており、「緩やか」の表現を外したのは、バブル崩壊以降初めてのことであり、景気回復の力強さを示している。
ただ、長期金利の動向については、「前月と比べ上昇している」に改め、金利の上昇傾向を重視する姿勢を示した。物価動向については、企業物価が、最近の原油高の影響もあり、上昇を続けると見られるとしたが、消費者物価は「小幅のマイナスで推移する」として、デフレへの厳しい見方を維持した。
(2)ガソリン1リットル113円に(6/17) **
石油情報センターによると、レギュラーガソリンの全国平均小売価格は、14日現在前週比1円高の1リットル当たり113円と、96年3月以来8年3ヶ月ぶりの高水準となった。しかし、今後の見通しは、原油価格と為替動向からみて7月からの卸売価格は横ばいになりそうで、大幅な続騰はなさそうである。
(3)金融庁、UFJに改善命令(6/17) ***
金融庁が、UFJホールディングスに対し4つの業務改善命令を発動するなど、厳しい姿勢で臨んだのは、来年3月の不良債権の半減目標の達成や、来年4月のペイオフの全面凍結解除を控え、金融システム安定を求める当局の意思をアピールする狙いがある。
大口融資先の抜本的な再生を目指すUFJにとり、今回の業務改善命令は痛手である。また、金融庁が検査忌避を明確に認定したことで、市場の不信を払拭するのは容易ではない。UFJは、検査忌避の疑いがかけられた担当者の追加処分も示唆している。
今後は、UFJが、金融庁や市場が納得できる対応策を早急に打ち出せるかがカギとなる。
[主な改善命令]・検査対応の適切な管理
・抜本的な収益改善の方策
・中小企業向け融資に対する取組み態勢の改善
・信用リスク管理に対する経営姿勢と経営責任の明確化
(4)公的資金新法成立―地域金融健全化へ(6/15) ***
審議が遅れ成立が危ぶまれていた金融機能強化法(公的資金新法)と改正預金保険法の「金融二法」が成立した。これにより、地域金融機関への公的資金注入を2005年4月からのペイオフ全面凍結解除前に十分時間をかけて行えるようになった。危機対応会議を開かなくても、中小の金融機関に機動的に総額2兆円の公的資金が注入できるようになった。健全な銀行の体力を強化し、貸し渋りを抑え、債権放棄や経営不振の地域企業の処理も進められる。
金融庁は、99年に大手銀行に資本注入し、大手行を四大金融グループへの再編に向かわせたのと同じ手法で、地域金融機関にも再編や経営強化を促す方針である。竹中金融相は、金融機関に積極的な申請を呼びかけている。しかし、経営健全化計画が3年ごとにチェックされ、計画が達成されない場合には、経営者は退陣を求められるため、申請がなかなか出ない可能性もある。
一方で、申請してきた金融機関に資本注入を焦れば、淘汰すべき金融機関を延命させるだけとなる。金融庁は、厳しい金融行政の舵取りを迫られそうだ。
(1)原子力政策正念場にー六ヶ所村、ウラン試験認可(6/18) **
ウラン試験は、再処理工場に放射性物質を流す本格的な試運転である。その次に、本物の使用済み核燃料を流す最終試験が控え、予定の2006年稼動のためには、ミスはもう許されない。
エネルギー資源が乏しい日本は、原発の使用済み燃料から再処理工場でプルトニウムなどを取り出し、燃料として再利用する「核燃料サイクル」を推進している。
プルトニウムを大量に消費するはずであった高速増殖炉は「もんじゅ」が95年にナトリウム漏れ事故を起こして停止するなど、原発の使用済み燃料は再処理のメドが立たないまま、増え続ける一方である。再処理工場を将来閉鎖するまでの総費用が19兆円に上ることも判明し、コストに疑問が生じ、核燃料サイクルからの撤退論が勢いを増してきた。
非核保有国では唯一となる六ヶ所村の大規模な最処理工場も、これまでに単純なミスなど400件以上のトラブルが発生しているだけに、ウラン試験の成否には、世界の注目が集まっている。
使用済み核燃料の再処理工場は、地元に資金や雇用機会という「富」とともに、事故という「リスク」をもたらす。再処理工場などから見込まれる約117億円(今年度)の核燃料税は、県税収の約1割を占める。そのため、地元経済界は、大きなビジネス・チャンスとして早期稼動に期待する。これに対し、下北の原子力半島化に不安を抱く県民も少なくない