7月第1週(6/27〜7/3)*印が多いほど頻出(最高3つの*)


[日本経済]

(1)金融機能強化法による公的資金注入―再編なしは条件厳しく(6/28) ***

 新制度を定めた金融機能強化法は、地域金融機関の再編を促すのが狙いで、合併する場合の資本注入と、単独の注入の条件にどう差をつけるかが焦点になっている。 合併による再建ならば、経営陣が入れ替わり、人員削減などの合理化が進みやすくなると金融庁は期待している。一方、単独の資本注入を簡単に認めると、自主的な経営改革が遅れる恐れがあると警戒している。同庁は、単独での資本注入を制限し、地域金融機関の再編を促す趣旨を徹底する方針である。単独の場合には、安易な救済につながらないように、地域経済にとり不可欠と認められる銀行であり、増資へのぎりぎりの努力を求め、最後に不足する分を国の公的資金で埋め合わせると言う構図を明確にする。そのため、地域での預金、融資のシェアの大きさも、公的資金による支援の必要条件とする考えである。地域で三位以下の金融機関が不可欠とみるのは難しいとの声も出ている。

 破綻金融機関に関しては、一時国有化した足利銀行のように、預金保険法による金融危機対応や第三者への営業譲渡を軸にする破綻処理をする予定である。


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(2)公的新法、施行8月1日(6/29) ***

 地域金融機関に資本注入できる金融機能強化法(公的資金新法)の審査基準と運用指針が、28日明らかになった。9月中間決算に絡んだ資金申請に備えるため、施行日を当初の9月から8月1日に前倒しする。

 公的資金注入の適否は、申請した金融機関の収益性・効率性、地域金融機関の円滑化が見込めるかどうかなどに着目して審査する。

[審査基準]

(1)最近の収益性の上昇幅が、同一業態(地銀,信金、信組)の上位3割以内。

(2)自己資本比率が同一業態の中位以上。

(3)直近の金融庁検査の結果を資産査定に適確に反映している。

 申請行が提出する経営強化計画(3年以内)には、収益性、経費率、不良債権比率の目標値に加え、総資産に占める中小企業・地元企業向け融資残高、取引先企業全体に占める経営再建支援先企業数といった地域経済への貢献度を示す目標値を明記させることにした。また、計画終了時に、目標が達成できなければ、金融庁が業務改善命令を発動できる仕組みを作った。


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(3)通商白書―中国けん制の狙いも(6/30) **

 29日の閣議で了承された2004年版通商白書は、日本企業に対し、価格競争から商品やサービスの個性化という新たな競争への転換を求め、今後の進むべき道を示した。ハイテク分野を中心に価格競争を挑む中国などとの競争が激化するなかで、これらの国をけん制する狙いもあると見られる。

 2004年版白書は、変化する世界経済の分析と、政府や日本企業が採るべき政策を一体的に論じたのが特徴である。

 6月には、国内半導体の大手企業のエルピーダメモリが、韓国の半導体大手企業の日本への安値輸出に、相殺関税を適用するように政府に申請した。政府は、前向きであり、支援するべきはするという姿勢は、白書にも反映されている。

 白書は、また、政府や日本企業が採るべき政策の柱として、「知的資産」を挙げた。知的資産とは、特許や、経営ノウハウ、優秀な人材、ブランドなど価値が測りにくい概念である。一方、行政にも、産業界が望む技術や能力を把握し、若年者を中心とした教育・研修プログラムの策定を求めている。


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(4)日銀短観、景況感大幅改善(7/2) ***

 日本銀行が発表した6月の企業短期経済観測調査(6月短観)で、企業の景況感の大幅な改善が見られたものの、原料価格の上昇や金利の先高観など、企業経営を取り巻く懸念材料は多い。デフレの克服のためにも、雇用の回復は欠かせない。

 次の表のとおり、改善は顕著であり、特に、中小企業製造業のDIはプラスに転じた。 

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[6月短観の主な指標]
業況判断DI 3月 6月 先行き
大企業製造業 12 22 21
大企業非製造業 11
中小企業製造業 −3
中小企業非製造業 −20 −18 −18

日銀短観については、「重要30用語」参照)


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(5)規制改革前進なるか(7/3) **

  規制改革をめぐる政府内や政府・与党間の調整が、参院選後に本格化する。地域限定で規制を緩和する特区で実施している45の規制緩和策のうち、各省庁が、全国展開が可能と解答したのが3件に留まり、省庁側には、依然、権限の低下につながりかねない規制改革のへの抵抗が強い。金子行革担当相は、政治が動かなければ進まないと見ており、省庁との調整の一方で、国会議員への働きかけを強め、改革推進への理解を求める考えである。


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