5月第4週(5/16〜5/22)*印が多いほど頻出(最高3つの*)
(1)新生りそな、公的資金注入から1年(5/16) **
りそなホールディングス(HD)への約2兆円の公的資金注入が行われてから、丸1年となる。りそなHDは、細谷会長の下で、不良債権の抜本処理など経営改革に取り組んでいるが、他行との競争が激化しており、収益力回復もまだ不透明である。一方、金融行政からみると、金融危機の阻止、株価対策では成功を収めたが、金融健全化への効果を評価するには、まだ時間が必要である。
JR東日本出身の細谷会長は、就任直後の昨年6月に「大きな課題は、社内改革だ」として、自ら改革の先導役を努める意向を鮮明にした。キーワードとする「金融サービス業への進化」は、収益の柱に置く中小企業と個人との取引強化を年頭に置く。この他に、窓口の営業時間の延長や、通帳を発行せずインターネットで取引内容を確認する新型口座の解説、全国を30地区に分け人事権を移譲し、地域CEO(最高経営責任者)の創設をするなど、改革の数は数えられないほどである。それでも、改革は、まだ道半ばである。
りそなHDは、2003年9月中間連結決算で、不良債権を抜本処理し、税引き後利益は1兆7,600億円の巨額赤字を計上した。2005年3月期には、コスモ証券株を売却するなどして、1,600億円の黒字に転換するV字型回復を目指す。こうした改革は市場でも評価され、株価は1年前の3〜4倍の水準にまで上昇した。
しかし、仮に年1,600億円の利益が続いても、総額約3兆円の公的資金を利益だけで返済するには約20年もかかる。さらなる収益力の向上が必要だが、競争は激しさを増している。
(2)景気、広がる地域間格差―好調業種の立地反映(5/17) **
生産活動による景気の地域間格差が、90年代以降の過去2回の回復と比べ、2倍程度に開いていることが内閣府の調査で分かった。東北、中部が好調であるのに対し、北海道は低迷が続いている。地域別の鉱工業生産指数の伸び率の比較で判明した。自動車やIT関連など好調業種が立地しているかどうかが、景気格差に表れている。
今回は、公共投資に頼らない民需主導の回復であるのが、前2回との相違で、どういう産業が立地しているかが、各地域の生産活動を左右する構図が鮮明となっている。
(3)UFJ大幅赤字―ペイオフ控え荒療治(5/18) ***
UFJホールディングス(HD)が、2004年3月期決算の業績予想を再修正し、3,700億円(税引き後利益)の大幅赤字の見通しとなった背景には、ペイオフの全面凍結解除を来年4月に控え、不良債権問題を解消するには、荒療治も辞さないとする金融庁の厳しい姿勢がある。 問題先送り型の不良債権処理は見逃さないとして、「金融再生プログラム」での不良債権比率の半減目標達成に向け、竹中経済財政・金融相ら金融庁は、今3月期決算に向け、不退転の決意で臨んだ。金融庁は、大手の経営不振企業を複数抱え、不良債権比率が大手行の中で最も高いUFJを、不良債権問題の象徴的存在と位置付け、厳しく検査、監督をしてきた。
UFJにとり、今3月期の見込みで、8.5%と高止まりした不良債権比率は、かねて経営上の不安材料であった。他の大手行では、三菱東京フィナンシャル・グループが3.8%と昨年9月期に半減目標を達成したほか、三井住友フィナンシャル・グループも半減目標の4.4%が射程圏内に入る中で、他の大手行並に4%台にまで下げないと、市場の信認を得られないとの声が出ていた。
(4)1〜3月期の実質GDP年率5.6%増(5/19) ***
今年の1〜3月期の実質GDP(国内総生産)成長率は、前期比1.4%増(年率換算5.6%増)となり、輸出や設備投資の伸びが日本経済を支えている構図を、改めて示している。企業の好調さが個人消費に波及する好循環になれば、好況の持続が可能である。しかし、海外経済には、米中の利上げ観測や原油高騰などの不安要因が広がっており、今年度後半も成長が維持できるかどうかは、不透明である。
国内総生産 | 1.4% |
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民間最終消費支出 | 1.0% |
民間企業設備投資 | 2.4% |
公的固定資本形成 | −3.4% |
純輸出 | 9.1% |