5月第5週(5/23〜5/29)*印が多いほど頻出(最高3つの*)


[日本経済]

(1)大手5行黒字転換(5/25) ***

 7大金融・銀行グループは、04年3月期決算を発表した。不良債権処理が遅れているUFJとりそなを除く5グループは、不良債権処理が大幅に減ったことから、当期損益が黒字に転じた。7グループの不良債権の総額は、約14兆円と前期比6兆円以上減少した。4千億円超の当期赤字となったUFJは、来春までの不良債権比率(不良債権÷貸出残高)半減を目指して、今年度中に約2.3超円の不良債権の最終処理を目指す方針である。

 本業のもうけを示す7グループの業務純益は、貸出残高の減少などで前期より約1,400億円減って、3兆9,901億円であった。一方、不良債権処理にかかる費用が7グループで計3.6兆円と、前期の約5.1兆円より大幅に減り、業務純益の範囲内に収まった。さらに、景気回復を背景に株価が上昇し、03年3月期に計約3.3兆円の損失であった株式関係損益は、約6,400億円の利益に転じた。

 政府が掲げる、不良債権比率を02年3月期比で05年3月期に半分に減らす目標は、三菱東京や住友信託は既に達成しており、同比率は2%台である。みずほも4%台であり、目標に近づきつつある。目標年度の05年3月期に、7グループで当期黒字を予想しており、不良債権比率の半減を達成する考えである。

 一方、UFJは、不良債権に対する貸し倒れ引当金を大幅に積み増した結果、当期赤字が4,028億円に膨らんだ。そして、UFJ銀行の自己資本比率は、国際業務を行うのに必要な8%を若干上回る水準にまで低下した。UFJの3月末の不良債権残高は3.9兆円であり、不良債権比率は8.5%であった。そのため、不良債権の処理を進め、05年3月には3%台に急減させる予定である。

不良債権については、「重要30用語」参照)

[04年3月期の大手銀行・金融グループの連結決算]
不良債権比率 税引き後利益(億円)
みずほ 4.4% 4,069
三井住友 5.1% 3,304
三菱東京 2.9% 5,608
UFJ 8.5% −4,028
りそな 6.7% −16,639
住友信託 2.8% 796
三井トラスト 5.0% 507


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[世界経済]

(1)中国、貸出金利上限撤廃へ(5/27) ***

 中国人民銀行(中央銀行)は、政策金利である法定貸出金利(銀行から企業への貸出金利)の上限幅を撤廃する方針である。利上げ効果を浸透させるのが狙いで、鉄鋼など投資過熱が著しい特定分野の融資には高金利を設定できるようにし、投資抑制を図る。

 貸出金利の一律の引上げには、景気失速につながるなどの懸念があり難しいとの判断が強まっていた。今後上限幅を撤廃すれば、商業銀行は15%を超える高金利も自由に設定出来るようになる。


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[規制緩和]

(1)規制改革・民間開放推進本部発足(5/26) **

 総合規制改革会議の後継組織として、企業経営者や学者で構成する規制改革・民間開放推進会議が、4月に活動を開始したのに続き、首相を本部長に全閣僚が参加する規制改革・民間開放推進本部も、25日に発足した。規制改革の推進は、日本経済を中長期的に安定成長の軌道に乗せるため、これまで以上に重要である。

 3月に廃止された総合規制改革会議は、首相への提言機関にとどまった。提言実現の閣僚折衝にも加われず、族議員としての関係閣僚に阻まれることも多かった。推進会議と推進本部の二人三脚体制は、それを反省し、改革の推進力を強化するのが狙いである。

 新三か年計画の初年度である2004年度は、病院経営、学校経営や農業経営への株式会社の参入、保険診療と自由診療の併用を認める混合診療の解禁などの実現を目指す。  学校経営や農業経営への株式会社の参入のように、地域限定の構造改革特区で厳しい条件付で認められ、今後全国展開を検討するものもある。これらの全国実施のために、特区推進本部など関係機関と連携を強めていく必要がある。

 今年度のもう一つの重要課題は、国や自治体の行政サービスや施設運営の民間への開放を進めることである。推進の手段として、市場化テスト(官民競争入札制度)の導入を検討する。国や自治体の事業で、民間に委託したほうがメリットが多いと判断されるものを選び、役所と民間業者に競争入札させ、落札者に任せる。欧米で採用され効果を上げている。職業紹介事業や特許事務などが候補に上がっている。来年度中の試験導入が目標である。


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