11月第3週(11/14〜1/20)印が多いほど頻出(最高3つの*)
(1)14年ぶりの設備投資2ケタ増(11/15) **
日本経済新聞社による2004年度の設備投資動向調査によると、全産業の設備投資は、前年度実績に比べ10.4%増加した。2ケタ増は、1990年度以来14年振りである。特に、業績好調な自動車、電気などの積極投資が目立った。一方、大型投資が続いた鉄鋼や通信など一部業種で一服感が出ている。
調査の対象となったのは1,675社で、全産業の伸び率は5月集計の当初計画に比べ、4.9%上方修正された。製造業は、前年度比16.9%の高い伸びであった。非製造業は、当初計画が同0.1%減であったが、2.4%に上方修正され、8年ぶりの増加に転じた。内閣府による7〜9月期のGDP速報値では、設備投資が実質で前期比0.2%減となったが、今回の調査を見る限り、少なくとも今年度いっぱいは高水準の設備投資が続きそうである。
(2)11月月例報告、景気判断を下方修正(11/17) ***
内閣府の11月の月例経済報告において、景気の基調判断は、「このところ一部に弱い動きが見られるが、回復が続いている」として、10月までの「堅調に回復している」から、下方修正された。成長をけん引してきたアメリカや中国の減速により、輸出と生産の伸びが鈍化しているためである。下方修正は、1年5ヶ月ぶりである。しかし、景気の先行きについては、国内民間需要が着実に増加しているため、景気回復が続くと見込まれるとした。
個別項目では、輸出は「緩やかに増加している」から「弱含みとなっている」に、生産は「緩やかに増加している」から「横ばいとなっている」にそれぞれ下方修正された。
(3)補助金、2年で3兆円減―三位一体改革(11/18) **
政府・与党は、三位一体改革について、大枠の基本方針に合意する方向となった。第一に、補助金削減について、2006年度までの2年間で3兆円削減する。第二に、義務教育費国庫負担金の取り扱いについて、実質的に結論を先送りする。また、個別の補助金削減については、今後さらに調整する。
補助金削減に伴う国から地方への税源移譲については、今年度先行実施した6,500億円と合わせ3兆円程度を目指し、2006年度までは地方の財源不足を地方交付税で補う方向である。
(4)東証一部813社、中間決算の経常利益33%増(12/20) ***
18日までに中間決算を終えた東証一部上場企業のうち、金融を除く813社の売上高の合計は、前年同期比6.3%増、経常利益は同33.2%増で、中間決算としては、2年連続の増収増益となった。アメリカや中国向けの輸出が伸びたことや、アテネ五輪効果のデジタル家電ブームも追い風となり、発表を終えた企業の8割近くが増収増益となっている。
一方、下半期の予想では、売上高が同4.1%増、経常利益が同9.6%増と、増加率は鈍化する見通しである。円高・ドル安の進行、外需の伸びの鈍化、そして、原油高が企業収益を圧迫する恐れが指摘されている。
(5)公的資金、三井住友2007年度までに1.1兆円完済へ(11/20) **
三井住友フィナンシャル・グループは、国から注入された公的資金の残額1兆1,000億円を、2007年度までに全額返済する方針を固め、22日の中間決算発表時に表明する見通しである。不良債権処理の進展や株価の上昇を受け、財務体質の健全性をアピールすることで、市場の評価を高め、前向きの経営戦略を打ち出しやすくなる。
2004年9月連結中間決算は、本業の儲けを示す業務純益が4,700億円となる見通しで、収益力は安定している。
公的資金注入行は、政府に提出した「経営健全化計画」の達成を求められることから、公的資金の早期完済を達成し、経営の自由度を高めることが重要である。
UFJホールディングスは、公的資金1兆5,000億円の残高があるが、不良債権処理の遅れなどで財務体質が悪化し、経営健全化計画を達成できず、三菱東京フィナンシャル・グループとの経営統合に追い込まれた。
(1)APEC閣僚会議、自由化達成度を検証(11/18) **
チリで開幕するアジア太平洋経済協力会議(APEC)閣僚会議で、APECが貿易・投資の自由化目標に掲げる「ボゴール宣言」の進展状況を中間評価するため、学者などの専門家チームを設置することで合意した。専門家チームは、加盟各国・地域の取り組み状況を客観的に評価する仕組みを検討して、来秋までに報告書をまとめ、来年の閣僚・首脳会議に報告する予定である。
ボゴール宣言は、94年のインドネシアのボゴールで採択され、「先進国は2010年、 途上国は2020年までに貿易と投資の自由化を達成する」とした。しかし、各国間で合意しやすいように、自由化の定義を定めず、具体性に欠ける面がある。