10月第2週(10/3〜10/9)印が多いほど頻出(最高3つの*)
(1) 対中借款増やさずー町村外相(10/4) **
政府は、政府開発援助(ODA)をテーマにしたタウンミーティング(対話集会)を都内で開いた。町村外相は、自民党などから批判が多い中国向け借款について、「傾向として増やしていくことはない」と述べ、今後も減少が続くとの見方を示した。対中借款は、中国の経済発展から必要性が減っているとして、3年連続で減少している。2003年度分は、967億円と14年ぶりに1,000億円を割った。町村外相は、環境保全や人材育成分野に借款の重点を置く方針を表明した上で、「どこかの時点で、中国は支援を受ける国から卒業するだろう」と述べた。
(ODAについては、「重要30用語」参照)
(2) 国債消化に協力要請―財務省(10/7) ***
財務省は、国債の大口の買い手の中から「国債市場特別参加者」に指定した大手銀行・証券25社を集め、初の国債市場特別参加者会合を開いた。谷垣財務相は、来年度予算で国債発行額を今年度以下にする方針を説明したが、借換債を加えた国債発行は今後も増え続ける一方で、郵政民営化で公的部門の引き受けが減ることも予想される。政府は、市場参加者とも連携して、国債消化に本腰を入れていく方針である。
特別参加者の25社は、すべての国債入札で発行予定額の3%以上の応札と、1%以上の落札が義務付けられる。大手銀行などは、国債引受シンジケート団をつくり新発10年債の15%を引受けてきたが、特別参加者はすべての国債を購入する必要がある。様々な国債に自由に入札できる反面、指定規準を満たすには必要以上の国債を買わされるケースも出てくる。これまで以上に、国債相場に業績が左右され、国との運命共同体となる。
一方、国は、大口の買い手との連携強化で市場が望む国債を発行でき、応札額が発行額を下回る札割れも回避できる。また、高金利をつけないと国債が売れなくなる事態は避けられる。
しかし、90年代後半の景気対策のために、大量発行された10年債が償還期限を迎えるため、借換えのための国債発行は増え続け、来年度は借換債の発効は100兆円を超える見通しである。その後も増加の見通しで、借換債の消化は大きな課題となっている。
また、2007年度以降は、国債発行残高の25%を保有する郵貯・簡保が、民営化により国債の引受を徐々に減らす可能性が高い。
国債は債券市場で安定して取引されているが、特定参加者が、いったん多額の国債を買い、すぐに手放す金融機関が出て、入札終了後の午後には相場が値崩れする傾向があるという。市場関係者は、国債そのものの信認が維持できなければ、安定消化は続かないという声が強い。
(借換債については、「公務員試験情報サービス」の2004年1月1日版「財政学ミニ講座」5.公債の(6)「国債の借換え」参照)
(1)9月アメリカ雇用統計、事前予想下回る(10/9) **
アメリカ労働省の9月の雇用統計によると、非農業部門の就業者数は、前月より9万6千人増加した。就業者数は昨年9月以来、13ヶ月連続で前月比プラスを維持したが、2ヶ月ぶりに、増加幅が10万人の大台を割り込んだ。製造業では、1万8千人減少した。
失業率は5.4%で、前月と同じであった。ブッシュ政権が強調する雇用回復の力強さがはっきりせず、選挙にどう影響を与えるか微妙である。
雇用の伸びの鈍化を受け、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)が、11月と12月に開く連邦公開市場委員会(FOMC)で、少なくとも1回は金利引上げを見送るとの観測が出てきた。
(1) 電源開発、今年最大の新規上場―電力自由化に対応(10/7) **
電源開発が、東京証券取引所の第一部に新規上場した。終値ベースの時価総額は、約3,858億円で、新生銀行を上回り、今年最大の新規上場となった。電力自由化が進む中、新規上場による完全民営化で、経営の自由度が高まることが期待されており、株式市場でも、収益が出る環境が整っていると評価された。
この上場には、電力自由化で電力料金値下げ圧力が強まる中で、資金調達手段を多様化して、発電所建設をやりやすくする狙いがある。
電源開発は、電気を電力会社に販売する卸会社で、発電能力は1,637万キロワットで、電力10社中で5位の東北電力に匹敵する。しかし、新規参入業者との競争に直面している電力会社から、卸料金の引下げ圧力は、年々強まっている。このため、収益源の拡大に力を入れている。2012年に運転開始を目指した原子力発電所の建設計画を控えているほか、風力発電でも全国数十か所で立地調査を進めている。新規参入業者へ電力を供給する発電所も2箇所で建設中である。