11月第1週(10/31〜11/6)印が多いほど頻出(最高3つの*)


[日本経済]

(1)核燃料サイクル事業進まぬ計画(11/2) **

 国の原子力委員会が、原子力発電所の使用済み核燃料を再処理する方針を決めたことで、核燃料サイクル事業は前進する見通しとなった。しかし、解決すべき課題が山積している。

 再処理路線が頓挫すれば、電力各社が既に搬入した使用済み核燃料が各地の原発に返却され、貯蔵施設が不足している原発の運転が止まりかねなかった。今回の決定で、こうした最悪のケースは避けられたことになる。さらに、六ヶ所村の使用済み核燃料の再処理工場も、運転開始に向けた試験が進む方向となった。

 しかし、処理能力を超える使用済み核燃料を一時的に保管する中間貯蔵施設の問題もある。東京電力などは、2010年までにむつ市で施設を操業する計画だが、青森県は受け入れに慎重である。また、再処理で生じる高レベル放射性廃棄物の最終処分場も未定である。そして、再処理工場が製造するウラン・プルトニウム混合原料(MOX燃料)の原料を、発電に利用できるように加工するMOX向上も、当初の予定であった今年4月を過ぎ、メドが立たない。


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(2)大手銀行の不良債権比率、6グループで半減達成へ(11/5) ***

 大手銀行・金融グループのうち、UFJホールディングスを除く6グループが、表のとおり、2004年9月末時点で不良債権比率の半減目標を半年間前倒しで達成する見通しとなった。みずほは、2002年3月末以降で最も高かった6.4%の半分以下となるために達成となる。景気回復の追い風もあり、不良債権の新規発生が大幅に減少していることが原因である。これにより、大手行間の競争は、今後収益強化に焦点が移ることになる。

 半減目標は、不良債権比率を2005年3月末までに、2002年3月末の半分以下にするもので、竹中前金融担当相が2002年秋に「金融再生プログラム」として打ち出した。

 今年、9月末で9%台に高止まりするUFJも、大口融資先の処理が進んでいることから、2005年3月末は不良債権比率が3%台まで下がり、半減目標の達成は可能としており、全グループが期限内に半減目標を達成する見通しである。

 [大手銀行・金融グループの不良債権比率(%)の推移]
グループ名 2002年3月末 2004年9月末(見込み)
三菱東京  8.1 2.7%(6月末見込み)
住友信託  6.1 2%代前半
みずほ  5.7 3.1
三井トラスト  9.2 3%台後半
三井住友  8.9 4.4
りそな 10.2 4.8
UGJ 12.7 9%台


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(3)景気動向一致指数、2ヶ月連続50%割れ(11/5) ***

 内閣府によると、9月の景気動向指数で、景気の現状を示す一致指数が22.2%と、景気判断の分かれ目になる50%を2ヶ月連続で下回った。台風などの一時的要因が影響したと見られるが、景気後退の危険信号とされる3ヶ月連続の50%割れになる可能性も出てきた。株式市場でも、先行きへの警戒感が広がっている。

 景気の動きより数ヶ月先行する先行指数も30%となり、1年6ヶ月ぶりに50%を下回った。先行・一致指数とも50%を割ったのは、景気後退期であった2001年12月以来である。景気を引っ張てきたIT部門が変調し、景気後退の入り口に立っているとの指摘もある。


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[世界経済]

(1)アメリカの双子の赤字(11/5) ***

 ブッシュ大統領は、3年前に財政黒字を引き継いで発足し、国民に返済するとして減税に踏み切った。しかし、テロ対策やイラク戦争で出費がかさむ一方で、景気対策のために減税を重ね、2004年度は4,125億ドルの史上最高の財政赤字となった。大統領は、減税恒久化を約束しているため、議会予算局の試算では、10年まで3,000億ドル前後の財政赤字が続く見通しである。

 一方の経常収支赤字も、最高記録を更新しつづけ、04年は6,000億ドル台を突破しそうな勢いである。対GDP比でも、初めて5%台となるであろう。この経常収支赤字を続けるためには、それに見合う資金が海外から流入し続けなければならない。膨大な赤字により、資金流入が止まれば、ドルは即座に急落する。長期金利も上昇し、株式市場は動揺する。ひいては、世界経済の波乱要因となるであろう。

 この双子の赤字の主な要因は、過剰消費体質である。可処分所得に対する個人の貯蓄比率は、0.4%(7〜9月期)に過ぎない。財政赤字も、政府のカネの使いすぎであり、国の過少貯蓄の原因となっている。

 ブッシュ政権は、景気失速を避け、財政再建も目指す二律背反の政策運営を迫られる。現在の好況の追い風があるうちに、財政再建に向けた足固めをする必要がある。


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[環境問題]

(1)京都議定書2月発効―ロシア批准(11/5) ***

 ロシアが、地球温暖化防止のための京都議定書を批准し、来年2月に同議定書は発効する。これにより、温暖化防止に向けた世界の取組みが始動する。今後は、同議定書を離脱したアメリカを、国際的な枠組みに戻すことも大きな課題となる。

京都議定書については、「重要30用語」参照)


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