1月第2週(1/4〜1/10)*印が多いほど頻出(最高3つの*)
(1)NY円一時105円台 ― 政府介入策に限界(1/8) ***
7日のニューヨーク外国為替市場で、3年4ヶ月ぶりに一時1ドル=105円台まで円高が進んだことは、政府・日銀による円売りの介入では、急激な円高を止められなくなっていることを示している。最近の円高は、アメリカの財政・経常収支赤字を背景にしたドルの先安感が主因であり、日本がいくら巨額の介入をしても、日本単独では、円高の流れを容易には止められない情勢である。景気回復の兆しがある日本経済にとり、急激な円高進行は大きな打撃になりかねない。リストラなどにより、日本企業の円高に対する抵抗力は強まっているが、円相場は、企業経営に大きなダメージを与えるぎりぎりの水準にきている。 (「為替レートの変化の貿易収支に与える影響」については、当ホームページの「公務員試験情報サービス」の2002年2月4日版を参照)
(2)景気一致指数、7ヶ月連続50%超(1/10) ***
内閣府による11月の景気動向指数によると、景気の現状を示す一致指数は、77.8%となり、景気判断の分かれ目となる50%を7ヶ月連続で上回った。このため、2002年1月を谷とする今回の景気回復期間は22ヶ月となり、ITバブル景気であった前回の景気回復期間(99年2月〜2000年10月)の21ヶ月を超えた公算が大きい。しかし、数ヶ月先の景気の動向を示す先行指数は、44.4%と7ヶ月ぶりに50%を下回った。内閣府も、改善の動きは続いているが、単純に一本調子ではないとの慎重な見方を示している。
(景気動向指数については、「重要30用語」を参照)
(3)プライマリー・ディーラー制導入へ(1/5) **
我が国の財政は、歳入の半分近くを国債に依存するという状況である。これに加え、財政投融資資金を調達するための国債(財投債)、および満期を迎える国債を借り換えるための国債(借換債)を含めると、2004年度には118兆円の国債が発行される。この大量の国債を円滑に発行するために、欧米のプライマリー・ディーラー制度を範とする国債市場特別参加制度(仮称)を、2004年10月から段階的に導入することが決定された。
国債発行には、国債を銀行や証券会社などのメンバーに固定シェアで割り当てるシンジケート団引き受けと公募入札の2つの方法がある。国債の発行金利を流通市場の金利に近づけるため、政府はシンジケート団の比率を低下させ、入札発行の比率を高めていた。2003年度に発行される国債のうち、96%が入札で、シンジケート団の引き受けは、わずか4%となった。この間、国債の流通市場も成長し、短期債から30年債までの様々な国債を、瞬時に大量売買できる流動性に富む市場となっている。
欧米諸国では、10年国債のような中心的銘柄に対してシンジケート団引き受けを採用している国はなく、入札発行が原則となっている。しかし、シンジケート団は、安定消化を保証する仕組みである。もし、全額入札へ移行するとなると、入札未達リスクへの備えが必要となる。このリスクに対応するため、欧米では、20社前後の少数業者が入札の中心となるプライマリー・ディーラー制を採用している。プライマリー・ディーラーには、一定の応札、落札の義務があり、国債市場の流動性向上のために一定以上の売買量を維持するといったマーケット・メイク義務も課せられている。また、政府公認の国債取り扱い業者としての名声を得ることができる。
我が国に導入される国債市場特別参加者制度も、同様の機能を果たす予定である。特別参加者の義務は、全ての国債の入札で発行額の3%以上応札し、直近2・4半期の入札で短期、中期、長期、超長期それぞれで1%以上落札すること、そして市場流動性の向上に努めることである。
国債の発行市場と流通市場の一体化が進み、国債全体の安定消化の枠組みとして、定着していくことが期待される。