Q9 | 現在、日本と中国の間では多様な交流が盛んに行われています。それなのに協会はなぜ積極的に中国との交流にとりくまないのですか。中国国民と意義な交流を、協会の運動の―環として進めるべきではありませんか。 |
日中国交が回復し両国民の交流が盛んになったことは大きな前進面であることはいうまでもありません。同時に協会はそうした交流の発展が「日中友好を通じてアジアと世界平和に貢献する」(協会規約第2条)ものになることが重要だと考えています。
そうした観点から日中両国関係についても次のように分析しています。
現在の両国関係にはそれぞれの思惑によって友好交流でさえも政治的に歪められ利用されている面もあることは否定できません。中国政府は当初は「反ソ反覇権」の必要から、そしてやがて最重点政策の経済建設で日本からの膨大な資金や技術導入の必要から日米安保条約や自衛隊強化を容認支持する態度を明らかにしています。日本政府も安価な労働カと巨大な中国市場をめざしての経済進出のために、中国当局による民主主義・人権の抑圧を容認しています。このような世界の民主的世論から批判や非難をあびている反国民的政策をお互いに容認しあい、もっぱら目先の実利だけを追及するよぅな友好関係は両国民が望んでいる真の友好関係とはいえません。
国交が回復したにもかかわらず協会が組織としての交流を方針として掲げていないのはこれまで述べてきた「大国主義的干渉問題の未解決」が大きな障害になっているからです。それは以上のような今日の日中両国の政策とも深い関わりを持っています。協会がめざす友好交流は干渉問題がきちんと解決されて両国民が真に対等・互恵の関係に立って相互の立場を尊重しながら交流を発展させることです。それは相互の平和・民主主義・人権尊重の課題や運動に大きく貢献することになるでしょう。
しかし現実の中国は国民の民主的権利が大きく圧迫され言論の自由は制限されているとみるべきではないでしょうか。特に政治的な言動に対する制限は厳しい状況にあるといえます。現に「文革」や天安門事件(1989)を話題にすることもタブーになっているようです。このような日中関係の問題点と中国の現状から見ても協会の考えるような組織的な交流を行う条件はないといわなければなりません。
また、干渉問題の原則的な解決がないまま、なしくずし的に協会としての交流活動を再開することは、日中友好運動の将来にとっても、日中両国民間の友好関係の未来にとってもプラスにはならないと考えます。
以上のように日中両国民間の交流について原則的な態度を貫くことは、中国における平和民主主義、社会進歩を望んでいる中国国民に連帯することであり、ひいては中国の干渉問題を解決して対等互恵の真の日中友好関係を回復するための重要な課題のひとつなのです。
中国の「文革」と大国主義との戦い三十周年の記念集会(1996年) |